松商学園vs松本国際(写真=森田将義)

 「今日は1-0だから上出来だなと思っていた」(勝沢勝監督)が、好事魔多しとのことわざがある通り、上手く行っている時ほど落とし穴が潜んでいる。指揮官の頭に浮かんだのは、同じく1-0で試合を折り返した昨年の選手権2回戦・四日市中央工業戦。リードに興奮した選手がハーフタイムに思い思いの言葉を話していたため、後半の戦いが統一できず、後半の2失点で逆転負けを許した。この日も興奮した選手の口数が多かったため、勝沢監督は選手の気持ちを落ち着かせるため、「静かにしなさい」と指示したという。

 そうした対策をしても、後半3分には左サイドをドリブルで仕掛けたDF成澤慎(3年)を倒してPKを献上。FW宮入寛大(3年)に決められてしまったが、失点直後に選手が集まり、守備の重要性を再確認し、残り37分に挑んだ。攻撃も後半10分に、フィジカル系のFW二木陽(3年)を投入。体力の消耗が激しかった相手のサイドバックを積極的に狙うと、15分には途中出場のFW錦織周平(2年)が右サイドを突破。ゴール前に入れたパスから、土井がゴールネットを揺らしたが、オフサイドとなった。それでも、めげずにチャンスを伺うと19分には中盤でボールを奪った村瀬が中央を突破。思い切りよく放ったミドルシュートが決まると、そのまま逃げ切り2-1で松本国際が勝利した。

 松本国際は前年王者の貫禄を見せつけるような貫禄勝ちではなかったが、崩れそうな場面を耐え忍んでの勝利。勝沢監督が「高さもなければ経験もない。今年は我慢強く戦わないと勝てない」と語る通り、今年らしさが良く出た価値のある勝利だった。次戦は、昨年12月の新人戦準々決勝で敗れた上田西とのリベンジマッチ。パワフルな攻撃が特徴のチームで、この日以上に我慢の展開を強いられるのは間違いないため、勝沢監督は「どれだけ今までやってきたことを出せるかが鍵」とコメント。準決勝同様粘り強く戦えれば、連覇が見えるはずだ。 

(文・写真=森田将義)

▽第99回全国高校サッカー選手権長野予選
第99回全国高校サッカー選手権長野予選