後半に入ると攻防はさらに激化。
 50分には都立日野台。左サイドクロスから頭で落としたところをFW亀石隼斗がボレーシュート。54分には対する大成。FW西尾裕也の左クロスに、後半開始から途中出場となったFW田原慎之介が飛び込む。互いに好機が続いた。

 すると迎えた56分、大成がついに同点ゴールを奪取。
 最前線で躍動するFW田原慎之介が、MF濵川海人のシュートのこぼれ球に反応しネットを揺らす。両サイドからの崩しを徹底し、交代選手の投入により前線の強度が増した大成が追いつき試合は終盤へと突入。

 その後も打ち合いは続く。
 MF兼光敢の交代で攻撃の核を失ったかのように覗えた都立日野台であったが、劣勢の中一瞬の隙を突く。73分、左サイドを抜け出したMF相澤勇太のシュートのこぼれ球を、FW博田広樹が蹴り込んで再び勝ち越し。勝利を目前まで手繰り寄せた。

 しかしこのまま終わらないのがこの試合の死闘たる所以。
 攻勢が続く大成は試合終了間際、MF濵川海人が倒されPAライン際絶好の位置でFKを獲得すると、キッカーはMF桜井裕幹。角度のないところから直接狙ったシュートはこの日好セーブを連発していた都立日野台GK春日崇希の手をかすめながらネットを揺らす。試合はついに延長戦へ。

 互いに死力を尽くした一戦は、延長戦での決着も許さない。
 延長後半1分、右サイドを抜けたFW田原慎之介のクロスをFW澁谷夏輝が合わせ、先制点以来の勝ち越しに成功した大成に対し、都立日野台は延長後半8分に同点ゴール。FKから最後はFW博田広樹のハットトリック達成となる一撃が突き刺さった。

 意地と意地がぶつかり合った好ゲーム。勝負の行方は無情にもPK戦へと委ねられた。
 5人全員がキックを成功させた都立日野台に対し、4人目のキックが失敗に終わった大成。ついに試合終了を告げる長いホイッスルが駒沢のピッチに響き渡る。

 満身創痍の勝利を収めた都立日野台が8強入り。次戦、総体4強の東京朝鮮中高級学校に立ち向かう。

(文 金子侑史)

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