後半に入っても市立船橋の勢いは止まらない。サイドを起点に攻め立てると、後半17分からピッチに入った賀澤陽友もドリブルでチャンスに絡む。同25分には、森が単騎で突破して右足で3点目を奪った。そして、同35分には植松がシュートを放つと、松谷がこぼれ球を押し込んでハットトリックを達成。守備陣も最後まで失点せず、市立船橋が決勝へ駒を進めた。

 市立船橋にとっては本当に難しいゲームだった。他校は選手権予選を戦っていたが、自分たちはベスト4から登場するスーパーシード。その期間中にプレミアリーグを2試合戦っていたとはいえ、公式戦を戦っていない難しさがあった。何より負けたら終わりの一発勝負。プレッシャーは尋常ではない。選手権特有の緊張感を跳ね除けるのも大変な作業だ。だが、そんなムードは何処吹く風。「結果論かもしれないけど、シードで戦う難しさは考えていないし、選手たちにもそのようなことを伝えていない」と波多秀吾監督が語るように、自分たちのスタイルできっちりと勝ち切った。

 特に目を見張ったのが攻撃陣のパフォーマンス。「これまでのプレミアリーグでは、惜しい局面までは行くけと決め切れなかった」(波多監督)が、この日は序盤から爆発。中でも3ゴールを挙げた松谷の活躍は明るい材料だ。夏以降にレギュラーとなったが、決定力不足で苦しんでいただけに流経大柏との決勝でも期待が懸かる。

3年ぶりの選手権出場まであと1勝。春先から苦戦を強いられていた千葉の伝統校は、久しぶりに冬の檜舞台行きを決められるか。30日の決勝に注目が集まる。

(文・写真=松尾祐希)

▽第98回全国高校サッカー選手権千葉予選
第98回全国高校サッカー選手権千葉予選