28分にはCKをDF藤田颯太朗に決められ、同点に追いつかれたが、「前半はほぼ押し込んでいたので、焦りはなかった」(前田監督)と近江は意に介さず。35分にはMF村上裕亮のパスからMF岡崎藤吉が決めて、1点リードで前半を終えた。

 「最初は緊張でガチガチだったけど、時間が経つにつれて皆が乗ってきた」。GK土屋ヒロユキがそう振り返ったように後半は、らしさを取り戻した近江のペースで試合が進んだ。ルーキーのMF山中亮弥ら途中出場選手の働きも攻撃のアクセントになり、後半25分には左サイドでボールを持ったMF池田海翔のスルーパスから日下部がゴール前への飛び出しに成功。PA内ではドリブルでGKを引き付けると、最後は伊藤が決めてリードを広げた。37分には、相手エリアを仕掛けた山中が高い位置でボールを奪い返すと、最後はニアにいた池田が決めて勝負あり。チームに勢いを与える先制点を奪った日下部は「後輩たちに形として残せるプレゼントはプリンスしかない。点を決めて、勝利に貢献できて良かった」と喜びを口にした。

 近江は前田監督の就任を機に強化が始まり、今年で3年目。県3部リーグからスタートし、毎年カテゴリーを上げて最速でプリンスリーグまで辿り着いた。同時に、今年はBチームが県2部リーグ、Cチームが3部リーグで優勝しており、Aチームがプリンスリーグ昇格を果たしたことで全チームが来季から1つ上のカテゴリーへ進める。異例の早さで強化を進める前田監督は目標達成に安堵の表情を浮かべながら、「3年生が何もないゼロのチームに来てくれて、ここまで連れてきてくれた。アイツらのおかげ」と選手を称えた。

(文・写真 森田将義)