キャプテンがオーバーヘッド弾を決め仲間の元へ(写真=会田健司)

 蹴った瞬間「足が見えなかったですが、当たった感触がジャストミートしていて"これは入るな"とおもいました」。自分でも驚く「やったことがない」というオーバーヘッドが咄嗟に飛び出すぐらいこの試合に気持ちが入っていて、集中力も研ぎ澄まされていたのだろう。

 振り返ってゴールに入った事を確認した河辺は、ピッチ脇で大声援を送ってくれていた仲間の元へ一直線に走り出し、抱き合って喜びを分かち合った。

 相手PKをGK松本雄成(3年)のスーパーセーブで防ぐなど、この先制ゴールで得たリードを試合終盤まで保ち続けた神戸科技だったが、同点に追いつかれると、延長後半に痛恨の失点で逆転を許し悔しい敗戦となった。

 「滝二は僕たちよりはるかに格上で、僕たちはボールを回されるのを必死で追いかけなければいけなかったですが、普段から練習で走り勝つトレーニングをしているのでバテることはなかった。でも僕たちの動きを見てやり方を変えてきた滝二の方が一枚上手で、隙を突かれて失点してしまった。

 僕たちはずっとベスト8で止まっていて、ずっとそれ以上が行けなくて。僕は1年生から試合に出させてもらっていて、1年の時も2年の時もベスト8(選手権予選)で、次こそは絶対にベスト4にいってやると思ってやってきたんですけど、それが出来ずに悔しいです」と話した河辺。それでも「これが経験できたことで、選手権では僕たちより上の、世間が上がってくるだろうと思っているチームを倒して僕たちが全国に行けるように、また一から練習を頑張っていきたい」と次こそはこの壁を乗り越えると上を向いた。

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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選
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