履正社の平野直樹監督

 1-1のまま前半を終えられたことは履正社にとって大きかった。2本のロングスローからゴールネットを揺らされてしまったが、ファウルとオフサイドでどちらもノーゴール。35分ハーフの大会で2点差を付けられてしまうと試合が難しくなるからだ。

 「立ち上がりはゲームに慣れるまでは(蹴り合いになるのも)仕方ないんだけど、そこからは下でできるものは下でやる。慌てずにクサビを入れるだとかサイドチェンジをするだとか、そうやっていればもう少しイニシアチブを握れた」

 ハーフタイムに指揮官は2枚替えを敢行。さらに選手たちには「楽しんでる?と言いました。自分たちの力を出した結果は甘んじて受けるしかないけど、それもしないままやっていて楽しいのかなと。上手くいかないこともあるけど、ミニゲームをやろうと」と伝え、「ああしろ、こうしろ、というのはできるだけ言わないようにして」選手たちの普段のプレーを引き出すために、気合が空回りしてしまっている部分を取り除いた。

 その効果はすぐに表れ、後半は普段通りのサッカーを展開し、立ち上がりに勝ち越しゴールが生まれると、クーリングブレイクの際には「だいぶ楽しそうになってきたな!」と選手に声をかけた。

 そして「トーナメントなので勝てばよし」としながらも「反省すべきところは反省する。判断のないキックで無駄にロストしてしまったところ、勇気がなく怯えたプレーをしてしまったところ。そこはもう一回見直します」と話し、「明日は楽しみなゲーム」と2回戦の相手、神村学園との試合に意識を向けた。

 (文・写真=会田健司)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
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