昌平を率いる藤島崇之監督(写真=多田哲平)

 もちろん、いまや代名詞ともいえるテクニカルな攻撃も健在だ。しかも今年は、とりわけ個性派揃い。

【マッチレポート】昌平 vs 鹿島アントラーズユース

 FC東京に来季加入が内定している荒井の他、ドリブラーMF篠田翼(3年)、プレーメーカーMF長準喜(2年)と技巧が光る2列目に、フィジカルに長けるFW鄭志錫(1年)、運動量豊富な佐藤海空斗(3年)と正確無比なキックが持ち味の土谷のボランチコンビ。そして強さと賢さを兼ね備える津久井と石川のCBデュオ、堅実さと豪胆さを併せ持つ武村圭悟(3年)と上原悠都(1年)の両SBらタレントが並ぶ。

 「今年はより色がある。荒井はもちろんだけど、篠田も長もテクニカルで強さがあって面白い。土屋も個性がありますよね。セットプレーは武器ですが、それぞれの色を出しながら主導権を持ってやるところと、メリハリをつけてやれれば」

 今年2月には離脱者が相次ぎ、また代表招集で離脱する選手もいて、チーム作りの面では出遅れたかに思えた。しかし、そのおかげで、代わりに出た選手が台頭し、むしろ層は厚くなった。藤島監督はいま、毎試合ギリギリまでスタメンの選定に頭を悩ませている状況だ。

 指揮官が「今トップチームは30人以上で練習している。もっと上げていかなきゃいけない部分はありますけど、それぞれの良さが出ていて差がなくなっている。例えば(MF佐々木)小太朗(3年)なんかは練習ですごく良い」と言えば、主将の津久井も「誰が出ても同じ」と手応えを語る。

 総合力が高まっている昌平にとって、今年度のインターハイで選手登録数が昨年までの17名から20名に増加したことは強い追い風になりそうだ。

 全国大会の開幕は7月24日。3大会ぶりの全国の舞台に向け、埼玉の技巧派軍団に躍進の気配が漂う。

(文・写真=多田哲平)